なぜ地下鉄にカットりんごの自販機が?? メーカーさんに聞いてみました

こんにちは。フリー編集者(小説家)の魚住です。ある日、アークの成田部長から「おもしろい自販機を見かけたから調べてみて」との命を受けました。それはカットりんご自販機! 最近、駅ホームでアイスクリームやお菓子の自販機も見かけますが、カットしてあるりんごを売る自販機があるなんて…。そこで実際に購入しに行きました。新鮮なりんごがとてもおいしかったのでメーカーさんにもお話をうかがいました。(公開:2017年1月27日/更新:2022年2月21日)

地下鉄の通路に一風変わった自販機が……

今回、カットりんごの自販機を見つけたのは、東京メトロ副都心線の池袋駅構内。改札内です。ありました! 飲料の自販機に並んで堂々たる風格(?)。エスカレーター下にあるので人通りもありますね。初めて買うのでちょっとドキドキします。

これまで「カットりんご」と呼んでいましたが、正式な商品名は「アップルスイーツ」。商品の種類もいろいろありますね。りんごをただカットしただけではないようです。

りんごは青森産で「皮なし」(200円)、「王林・皮付き」(200円)に加え、「とろ〜り はちみつ&生りんご」(240円)、「とろ〜り キャラメル&生りんご」(240円)などがあり、迷ってしまいます。秋に来れば、和梨をカットした「梨スイーツ」もあったのに残念!
それでは実際に「アップルスイーツ」を1袋買ってみましょう。

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おお〜!クレーンゲーム感覚でおもしろーい!(笑)
超カンタンです
衛生的でおいしいのです

▲画像は左右にスライドできます(PCの場合、写真左右にある矢印をクリック)

こんなに手軽にりんごが食べられるなんて便利でヘルシー! 袋に入っていて片手で食べられるし、量もちょうどいい。これはファストフードですね。早速、アップルスイーツのサイトをチェックしてみました。

このサイトの中に「アップルスイーツ 3つの特長」がありました。なるほど、「誰もが栄養価の高いりんごを(Healthy)」「スナック感覚で簡単に(Convenience)」「新鮮なまま(Fresh)食べることができる」ワケですね。これはぜひ、メーカーさんにお話を聞きたくなりました。

◆アップルスイーツ

地下鉄の駅長さんに相談したことから実現化がスタート

「アップルスイーツ」を製造・販売しているのは神戸に本社がある「エム・ヴイ・エム商事株式会社」。日本最大のカットりんごメーカーです。今回は、営業第二部チーフマネージャーのTさんにお話をうかがいました。

「アップルスイーツは『フルーツをスナック感覚で食べてほしい』というコンセプトで2009年に発売しました。発売当初はスーパーやコンビニ中心に販売したんですがなかなか伝わりづらかったんです」(エム・ヴイ・エム商事 Tさん)

確かに今まで「アップルスイーツ」を販売しているコンビニを見かけたことがあります。その時は通り過ぎてしまいました(失礼!)。新商品が拡がるのってなかなか難しいですね。

「社内ブレーンストーミングで『自販機にしては?』という案も出ていました。ある時、地下鉄を利用していた弊社東京オフィスのスタッフが東京メトロの駅長さんに相談してみたんです。『どういう商品が売れていますか?』と。ほぼ男性目線の商品が主流らしいんですね。『もっと男性にも女性にも嬉しい、健康でフレッシュな商品などがあるといいかも?』という意見も分かりました」

▲(スライド画像)「皮付き」「皮なし」の好みは半々に分かれるようです

「フルーツ、特にりんごはビタミンなどが豊富です。ところが男女ともに、フルーツの摂取量は圧倒的に20〜30代が少ないんですね。もっと手軽にフルーツを食べてもらいたいんですが…。そこで思い切って、2011年1月に自販機で販売を開始しました。第1号は東京メトロ霞ヶ関駅です」

それから、新聞記事になったり、ネットで話題になるなど、ジワジワと浸透していったんですね。確かにカットりんご自販機は購入する側も楽しいです。

実際に購入して分かりましたが、りんごが新鮮です。パッケージにはちゃんと賞味期限が明記してあり、安全です。なによりもりんごが変色していません。サクサクしてるし、みずみずしくておいしい!

「りんごを変色させない工夫をしています。独自開発で、試行錯誤の末にその新技術を確立させていました」

▲(スライド画像)スイーツ感覚!「ソース付き商品/とろ〜りシリーズ」もおいしそう!

「自販機は現在のところ、東京都内に12台、大阪に7台設置しています。1年に増える台数は3〜4台ぐらいですね。徐々に増えていっています。地道にコツコツが一番ですね」

アップルスイーツがよく売れるのは春先だそうです。暑い夏に売れるのかと思いきや暖かくなってくる季節。入学・進学・入社・転勤など人が移動する時期というのがポイントのよう。

◆アップルスイーツ自販機 設置場所一覧◆(2017年1月20日現在)

《東京》

●東京メトロ丸ノ内線霞ヶ関駅改札外(日比谷公園改札口を出てすぐ)

●東京メトロ日比谷線霞ヶ関駅改札内(改札内エスカレーター横)

●都営地下鉄水道橋駅(ホーム中央付近)

●東京メトロ日比谷線 銀座駅 改札外(A1・A2出口方面改札出てすぐ)

●東京メトロ南北線 四ツ谷駅 改札内(地下2階・丸ノ内線乗換方面改札内売店横)

●東京メトロ東西線 日本橋 改札外(C4出入口付近、日本橋コレドB1前方)

●東京メトロ副都心線 池袋駅 地下2階改札内(副都心線ホームからエスカレーター昇ってすぐ)

●都営地下鉄内幸町(ホーム中央付近)

●都営地下鉄浜町駅(改札外・明治座方面に)

●東京メトロ丸ノ内線 銀座駅 改札外(西銀座口改札外C4出口方面)

●東京メトロ半蔵門線 押上駅 改札内(3、4番線ホーム階段上)

●都営浅草線日本橋駅 茅場町方面改札口を出て右斜め前(オートメルシー飲料自販機右隣)

《大阪》

●ライフなんば店(大阪市浪速区湊町「ライフなんば店」地下鉄なんば駅方面出口エスカレーター横)

●近鉄上本町駅地下中央改札外(地下中央改札を出て大阪新歌舞伎座に向かうエスカレーター近く)

●近鉄大阪難波駅西口改札内(西口改札を入ってすぐ)

●阪急梅田駅茶屋町改札内(1番線京都方面ホームへ上がる階段横)

●近鉄なんば線 日本橋駅 東改札外コンコース(日本橋1丁目交差点から10番出口のエレベーターを使用し地下2階に)

●JR新大阪駅2階(アルデ新大阪)正面入り口(駅正面エスカレーターを上った2階。スタバ正面でコインロッカー横)

●大阪国際(伊丹)空港内の南ターミナル(ANAサイド)(出発搭乗口9番、10番付近の通路側※保安検査を通過した後にしか購入できません)

「お客様からメールや手紙で『おいしかった』『自販機の台数をもっと増やして』という声が寄せられるととても嬉しいです。SNSもやっています。アカウントがあるので、そちらを見ていただいたり、ご感想をお寄せいただければありがたいですね」

個人的な要望ですが、私も自販機の台数を増やしてほしいです。東京・大阪以外の他地域にも全国的に増えればいいなと思います。
今後のアップルスイーツ新商品としては、ブドウや柿の商品も検討しているようです。これは秋が楽しみです!

今回お話をうかがったTさんには、将来的に夢があるそうです。

「街なかにジューススタンドがあるように、将来的にはフルーツスタンドができればいいなと思っています。それにもっと手軽にフルーツをスーパーやコンビニでもどこでも買えるようになればいいですね」

旬を大切にする日本で、都心部では季節の果物を食べる若者が少ないのはさびしいですね。手軽にフルーツが食べられたらもっともっと旬が楽しめます。お話を聞いていたらまた、りんごが食べたくなりました(笑)。
興味深いお話聞かせていただき、ご協力ありがとうございました。

[お問合せ先]
エム・ヴイ・エム商事→ https://www.mvm.co.jp
アップルスイーツ→ https://www.mvm.co.jp/applesweets/
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●撮影・文・編集=魚住陽向フリー編集者、小説家
●編集=大山勇一、成田潔